PROJECT STORY01 「協創」により実現した
国内初オフサイトPPA
プロジェクト

プロジェクト概要

セブン&アイグループ×NTTグループの「協創」プロジェクトとして、2021年6月に国内初のオフサイトPPAによるサービス提供を実現。セブン‐イレブンとイトーヨーカドーの店舗に、遠隔地の専用太陽光発電所から再生可能エネルギーを安定的に供給できる体制を整えました。20年間の長期契約で、国内の再エネ価格の低下が期待できるとして、全国紙の一面やテレビ各局の番組に取り上げられたことで社会的に大きなインパクトを創出し、再生可能エネルギーへの投資対象としてオフサイトPPAに多くの企業が注目するきっかけとなりました。

※オフサイト型コーポレートPPA(電力購入契約:Power Purchase Agreement)の略。コーポレートPPAは、需要家(電力の利用者)が発電事業者から再生可能エネルギーの電力を長期に購入する契約で、「オフサイトPPA」は遠隔地の発電設備から送配電網を介して需要家設備へ送電するモデルのこと。従来は、需要家の工場などの敷地内に発電設備を設置するオンサイトPPAが主流。

MEMBER

  • グリーンソリューション本部 第二グリーンソリューション部 新村 道哉
    グリーンソリューション本部
    第二グリーンソリューション部
    新村 道哉 Niimura Michiya
  • グリーン発電本部 RE開発部 佐藤 健介
    グリーン発電本部
    RE開発部
    佐藤 健介 Sato Kensuke
  • グリーンソリューション本部 第一グリーンソリューション部 小方 亮平
    グリーンソリューション本部
    第一グリーンソリューション部
    小方 亮平 Ogata Ryohei
#01

導入検討を進めていたオフサイトPPAを
「協創」プロジェクトによって実現

新村 このプロジェクトは、ともに国を代表しグローバルで活躍する両社が連携し「協創」の取り組みを目指そうとする動きの中で、新規ビジネスの企画・開発を担当していた私が、セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)様に海外の動向とともに国内での実施についてアイディアを提案したことから始まりました。セブン&アイ様がオフサイトPPAに興味を示してくださったので、企画を具体化していくために当時担当部署にいた佐藤さんと小方さんに検討を依頼したのですよね。

佐藤 そうですね。新村さんから依頼を受けて、私と小方さんがオフサイトPPAの企画立案や開発を進めました。私が発電所建設の責任者を務め、電力販売の方法などは小方さんが中心となって進めました。

小方 国内初のオフサイトPPAだったので、前例のない中で技術的なことや仕様面を決めていくのに苦労しましたよね。一つひとつ日本の法律に適合するか確認する必要もありましたし。技術検討をしながら並行して提案書も作成したので苦労の連続でしたが、一方そのおかげでセブン&アイ様のニーズを即座に技術検討に反映することができました。

佐藤 このプロジェクトが発足する前から「いつか日本に導入したい」と思い、私たちはオフサイトPPAについて検討していたのですが、その準備も短い期間の中で実現できた要因の一つだと思います。

新村 このオフサイトPPAのプロジェクトは、セブン&アイ様との「協創」ということで、お互いの強みを活かし、弱みを上手く補完し合えた事例だと思います。そして、多様な専門性を持った人が集まっているNTTアノードエナジーの良さが上手く発揮された事例であるとも思っています。

小方 確かに、NTTアノードエナジーの強みがわかりやすい象徴的な事例ですよね。このプロジェクトが新聞やテレビで報じられたことで、社内の意識も大きく変わったと思っています。自分たちが社会に貢献できることを強く実感できましたから。

#02

国内初のオフサイトPPAを
実現できた意義は大きい

新村 国内で初めてのオフサイトPPAは、環境先進企業であるセブン&アイ様との「協創」だから実現できたものです。一方で、セブン&アイ様の社内承認を得るのはやはり大変でしたよね。国内で前例のない取り組みですし、1年契約が慣例の小売業で20年の電力販売契約をしていただくプロジェクトでしたから。

小方 供給先の変更に柔軟に対応できるオフサイトPPAのメリットをどうご説明すればいいのか頭を悩ませました。提案資料のつくり方では、新村さんにたくさん指導してもらいましたよね。私たちは技術者なので、どうしても技術者目線の説明になってしまって、セブン&アイ様が知りたい内容をわかりやすく提示できていませんでした。

新村 遠隔地で発電するメリットはもちろん、再生可能エネルギーの価格が上がっていない今のうちにオフサイトPPAを開発すべき理由や、国内では前例がなくリスクはあるけれど長期スパンで考えれば社会課題解決と企業性の両立につながり得ることもセブン&アイ様にご説明しました。「全国紙の一面を飾りましょう!」ともお話ししましたね(笑)。ニュースバリューのある形で実現できれば、セブン&アイ様の環境先進企業としての姿勢を強く社会に印象づけられますし、また他企業にも伝搬して国内の脱炭素化の取り組みが加速することも期待できますから。

佐藤 「追加性」と呼ばれている価値についても強調しましたよね。他社が発電した既存の再生可能エネルギーを購入しているだけでは、社会全体の再生可能エネルギーの量は増えません。しかし、オフサイトPPAを目的とした新たな太陽光発電所の設置ができれば、再生可能エネルギーの全体量を増やし炭素の排出量削減に貢献できます。その重要性もご説明しました。

小方 セブン&アイ様が環境先進企業としての確固たる理念を持っていたからこそ、このプロジェクトの意義を最終的にご理解いただけましたよね。このプロジェクトを進める上で、セブン&アイ様の環境保護への想いを強く感じました。

佐藤 私たちはずっと、近隣の自然環境や住環境を破壊しないように発電所を開発してきました。ただ、そのことをアピールしてこなかったので、誰かに褒められることもありませんでした(笑)。ところが、今回のプロジェクトでセブン&アイ様に、私たちの環境保護の姿勢を「すばらしいですね」と言っていただけました。真面目に取り組んできたことを評価いただけて、とても嬉しかったですね。

#03

「協創」によって絆が生まれ
今後の可能性も広がる

佐藤 このプロジェクトは、とにかくスケジュールが大変でしたよね。ご提案から契約&プレスリリースまでが約半年しかなく……。そうした中で、セブン&アイ様からは「何でも相談してください」と言っていただき、お互いに本音で話し合うことができました。

小方 セブン&アイ様は本音で話してくださいましたし、社内説明で苦労されているときには理解の得づらい点を共有していただけました。だからこそ、私たちも提案資料をつくりやすかったと感じています。

新村 このプロジェクトの成功をセブン&アイ様もとても喜んでくださっていますよね。「カーボンニュートラルを目指すために」というテレビCMでは、企業を超えた取り組みとしてオフサイトPPAをご紹介いただいていますし。

佐藤 環境先進企業が再生可能エネルギーについてどのように考えているのか、このプロジェクトを通して理解を深められました。いろいろと勉強になることも多かったですね。

小方 プロジェクトを終えて、すごく良い流れが生まれているように思います。セブン&アイ様とは、いくつかの新たなプロジェクトが進んでいます。また、他の企業様からもオフサイトPPAに対するお問い合わせを数多くいただいています。

新村 このプロジェクトによって、NTTグループの力を活用して再生可能エネルギーの分野でチャレンジできることのやりがいを改めて感じました。社会的意義のある取り組みに最先端で挑めるのは、NTTアノードエナジーならではの魅力ですよね。

※組織名は取材当時のものです。