PROJECT STORY02 「現場力」で
通信を守り抜く
〈2019年千葉 台風15号〉
災害対応

プロジェクト概要

記録的な暴風雨によって、千葉エリアに甚大な被害をもたらした2019年9月の台風15号。広い地域で停電が起こり、NTTグループの通信ビルでも最大で125のビルで電力会社からの給電が途絶えました。このような状況の中、通信ビルへいち早くバックアップ用電源設備からの給電を行うため、直ちに災害対策本部を設置、通信ビルの被害状況確認、現地対応を開始しました。
NTTグループが保有する通信ビルの電力設備の構築・保守・運用は、NTTアノードエナジーが担う重大な役割のひとつです。千葉エリアの社員だけでなく、全国の拠点から437名の支援者と48台の移動電源車が集結し、通信を途絶えさせないための復旧活動を11日間にわたって継続しました。

※本プロジェクトで紹介する業務は、2022年7月よりNTTファシリティーズからNTTアノードエナジーに引き継がれています。

概要図

MEMBER

  • 東日本事業本部 東関東支店 エンジニアリングサービス部 千葉担当 上田 祥平
    東日本事業本部 東関東支店
    エンジニアリングサービス部
    千葉担当
    上田 祥平 Ueda Shohei
  • 東日本事業本部 東京事業部 大手町担当 野口 稔明
    東日本事業本部
    東京事業部
    大手町担当
    野口 稔明 Noguchi Toshiaki
  • エンジニアリングサービス本部 監視オペレーションセンタ 総合オペレーション部門 柳田 俊也
    エンジニアリングサービス本部
    監視オペレーションセンタ
    総合オペレーション部門
    柳田 俊也 Yanagida Toshiya
#01

被災地の通信を守るために、
一人ひとりが大きな役割を担う

柳田 千葉での災害対応において、私たち3人は一緒に活動していたわけではないので、まずはお互いが担った役割について簡単に紹介し合いましょうか。

上田 そうですね。私は千葉エリア所属なので、台風が通過した直後から現地に駆け付けました。移動電源車で館山エリアへ移動し、通信ビルの電源復旧作業を行いました。その後も銚子エリアや茂原エリアに赴き、バックアップ電源である非常用発電装置の状況確認や燃料の補給などをしていましたね。災害対策本部からの指示のもとで対応が必要なエリアに駆け付けていました。

野口 私は所属が東京エリアなのですが、災害対応の支援者として合計3回千葉へ向かいました。通信ビルの被害状況確認やその後の装置監視、非常用発電装置への燃料補給などを担当し、さまざまな拠点から集まった支援者と協力しながら復旧対応を行いました。

柳田 災害が発生した当初、私は監視オペレーションセンタで通信ビルの監視業務を行っていました。災害発生後はすぐに社内情報共有用のオンライン会議が立ち上がり、私も監視オペレーションセンタのメンバーとして会議に参加しました。通信ビルの警報や計測情報から、ビルに備えてある蓄電池の残量や設備の状況を把握し、災害対策本部やグループ会社へ情報を発信していました。その後、停電が長期化したこともあり、支援者として千葉に向かい、現地復旧対応や千葉の災害対策本部に入って燃料手配の指示や情報管理等の統制業務を行いました。

上田 被災した方々のためにも、「携帯電話やインターネットの通信を途絶えさせてはならない」という想いで災害対応に従事しました。通信ビルのバックアップ電源がなくなる前に復旧できたときには、「間に合った」と安心したことが強く印象に残っています。

野口 私は災害対応に従事するのは初めてだったので不安もありましたが、「できる限りのことをやるしかない」と思っていました。普段の業務以上に迅速さと正確さが必要で大変でしたが、自分が対応していた通信ビルが、通常の給電状態まで復旧できたときには、大きな達成感がありました。

柳田 私は情報を整理して災害対策本部に報告する役目を担っていましたが、災害発生直後はまず情報の把握に非常に苦労しました。今回の災害対応では、どの通信ビルにどれだけの燃料が残っているのかを把握することが非常に重要でしたが、災害発生直後の混乱の中では情報が錯綜してしまう時間帯もありました。しかし、現場へ赴いた社員から情報をもらうことですぐに正確に現地状況を整理できました。今回の活動を通して、被災地の情報を管理する大変さと重要さを改めて認識しました。

概要図
#02

現地での支援活動を通して、
「団結力」や「現場力」を実感

野口 私は足りないバックアップ電源を確保するため、移動電源車で現地へ駆け付けました。現地は道路の被害状況も悪く、倒木や通行止めなどで思った通りに進めず苦労しました。しかし、一緒に行動していた後輩と共に、安全を十分に確認しながらルートを選定し、無事通信ビルに到着できました。長距離の移動だったので、お互いの体調にも気を配り、適度に休息を取るように意識しましたね。

上田 災害対応に赴くにあたって、上司からは「安全を第一に考えるように」と指示がありました。「道路が冠水していたら無理してそれ以上先には行かないように」とも言われました。災害対応においても、社員の安全を第一に考える会社の姿勢は強く感じましたね。

柳田 私が千葉の東エリアに燃料を運搬した際には、現地が停電して真っ暗な中で、同僚と交代で発電装置の運転状況を監視しました。停電している被災地というのはこんなに心細いものかと実感しましたし、そうした状況の中で通信だけは絶対に途絶えさせたくないと思いましたね。

野口 災害対応では拠点や部署の垣根を超えて想いをひとつにでき、会社の団結力を強く感じました。また、NTTグループの会社からも食料の差し入れなどがあり、そうした支援が本当に嬉しかったし、災害対応に取り組む原動力になりました。

上田 野口さんと私は同期ですが、災害対応では顔を合わせることはありませんでした。ただ、同期のみんなも各地で対応にあたっているのを想像しながら自分もがんばりました。また、私は千葉エリア所属なので、千葉の地理に関する情報などは積極的に同期などに発信しましたし、以前に千葉エリア所属だった先輩や後輩が自発的に移動ルートなどを支援者に伝えているのを見て、部署の垣根を超えたチームワークを感じました。

柳田 みんなの姿を見ていると、「自分たちが通信を守る」という強い気持ちが伝わってきますし、「自分がやらなくてはいけない」という使命感を感じました。私は東日本大震災の災害対応も経験していますが、そのように団結して災害に対応していく企業文化は、先輩たちからずっと受け継がれているものです。

#03

通信を維持することによって、
「安心感」を提供できた

上田 被災地の方々が非常に不安になっている状況の中で、携帯電話やインターネットの通信を守ることで少しでも「安心感」を提供できたのではないかと思っています。それが、災害対応をやり遂げたことでの一番の喜びです。

野口 移動電源車を運転しているときに、携帯電話の電波が入らなくなっているエリアを走行しました。私たちは衛星電話を所持していたので災害対策本部との連絡はできたのですが、「スマートフォンが使えないとこんなに不安になるのか」という気持ちを実感しました。通信を24時間365日途絶えさせないという、私たちが担っている使命の重要性を再認識しました。

柳田 災害対応を通して、私たちが担っている責任の大きさを改めて実感しましたよね。また、私は現地の復旧作業中に、「今は水道が使えないから、水を使いたいときはうちの井戸水を使ってください」と住民の方から声をかけていただいたことがありました。地域住民の方々の温かみを感じ、大きな励みになりました。

上田 事前に災害に備えおく準備の大切さも再認識しました。特に、リチウムイオン電池などの新たに導入される設備や装置の知識を日頃から深めておき、災害時に迅速に対応できる体制の構築・教育に力を注ぎたいと考えています。

野口 現地対応の経験は個人の技術力の向上に繋がりますし、自担当での非常時の対応について考える良い機会となりました。今後は現地対応にとどまらず、統制業務を担える人材になるよう努めていきます。

柳田 私は東日本大震災の際に福島や茨城で災害対応を経験したので、今回の災害対応で情報整理を担ったときに、現地の状況を具体的に想像することができました。千葉の災害対応の経験も、今後発生する災害への備えに繋がっていきます。
私たちが守っている設備の先にはお客様がいて、更にその先にはサービスを利用している多くの方々がいることを忘れず、普段の業務に取り組んでいきます。

※組織名は取材当時のものです。