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製造工場で再生可能エネルギー率100%を達成。「ダスキン環境ビジョン2050」を力強く推進 (※)

  • 課題

    • 「ダスキン環境ビジョン2050」に沿った再生可能エネルギー(以下、再エネ)活用の推進
    • 非化石証書の市場価格高騰リスクへの対応
    • 従来のオフサイトPPA方式における小売電力会社選択の制約 (※1)
  • 解決策

    • 環境価値のみを調達可能な「バーチャルPPA」を採用(※2)
    • 長期安定価格で環境価値を確保することが可能
    • 電力を利用する現場で電力小売会社を選べる方式を採用
  • 効果

    • 小野ダスキン・和倉ダスキンの2工場で再エネ率100%※を達成し「ダスキン環境ビジョン 2050」の推進に貢献
    • 小売電気業者の切り替えを行うことなく再エネ導入を実現
    • 「環境にやさしいダスキン」のブランドイメージ向上に寄与
  • 株式会社ダスキン

      • 株式会社ダスキン 執行役員 業務改革推進部担当兼経営企画部長 井出 丈晴様
      • NTTアノードエナジー株式会社 営業本部 ソリューション営業部 法人営業担当 永田 彩

※ 再生可能エネルギー率100%:実質再エネを含みます。

※1 オフサイトPPA:需要家が実際に電力を使用する場所とは離れた場所(敷地外)に、発電事業者が再エネの発電設備を設置し、送配電網を介して需要家へ電力を供給する契約形態

※2 バーチャルPPA:再エネの発電所から生み出される環境価値(非化石価値)のみを切り離して、需要家に提供する契約形態

課題

円滑な再エネ導入の検討

ダスキンのクリーンサービス事業(マットやモップのレンタル・衛生用品の販売を中心とした事業)の中核を担うのが、株式会社小野ダスキン様(以下、小野ダスキン)。

小野ダスキンは、全国で唯一ダスキンブランドのマットを製造する工場として、家庭やオフィス、店舗向けにオーダーメイドや レディメイドのマット製品を製造しています。また、化成品(業務用・家庭用の洗剤など)の製造なども行っています。 ダスキングループのマット製造工場として、日々製造活動を行っている小野ダスキン様は、 株式会社ダスキン(以下、ダスキン)様が打ち出した「ダスキン環境ビジョン2050」に沿って、 CO2 削減などの環境負荷低減に向けて、さまざまな検討を開始。 「マット」という「モノ」を作る工場として不可避となる資材・素材や資源の削減・リサイクルへの取り組みを一層加速させるとともに、 エネルギーについても再エネの導入を踏まえた見直しを進めていました。

代表取締役社長の鈴木様は、再エネへの切替えに際して、次のような課題感を持っていたと語ります。

株式会社小野ダスキン 代表取締役社長 鈴木 琢様

「電力を再エネ利用にするために工場の屋根へ太陽光パネルを設置する場合、建屋の構造上、どこまで改修が必要でどれだけのコストがかかるのか、またそのコストをどのように賄うのかなど、われわれ小野ダスキン単独で脱炭素目標を達成するには、電力の調達方法や設備更新に関する制約が大きな壁となっていました。そして何より、当社で使用している機械が、世界に数台しかない特殊な織機であり、この機械が電力設備の切替えなどによって、万が一にでも稼働が止まると、全国へのマットの供給責任が果たせなくなるという大きなリスクが出てきます。さらに、当時は電力契約を変更する予定もなかったため、再エネへの移行をどのように進めるかが課題となっていました」

小野ダスキン様 マット製造現場

課題を踏まえたPPAの新たな方式を模索

さまざまな課題を踏まえ、再エネの導入においては、当初、オフサイトPPAを検討していた小野ダスキン様とダスキン様。しかし、太陽光発電所を利用したオフサイトPPAは、再エネを無駄なく活用した場合、最適規模が総電力量の2割程度である点、さらに小売電気事業者についても10年単位の長期契約になることもあり選択が難しくなるという制約がありました。それらを踏まえ、多くの事業者から情報を募り、幅広い視野で検討を進めていたといいます。

そこにNTTアノードエナジーが一石を投じ、オフサイトPPAの一種である「バーチャルPPA」での再エネの導入を提案。その提案について、ダスキン本社執行役員の井出様は次のように振り返ります。

株式会社ダスキン 執行役員 業務改革推進部担当兼経営企画部長 井出 丈晴様

「バーチャルPPAであれば、オフサイトPPAでの制約や問題点が払拭され、大規模の再エネが確保できるという点が魅力的でした。また今後、資機材の高騰や設備整備に適した土地の不足、工事に関わる人員の不足、2030年に向けて需要が高まるといった事情により非化石証書の価格が上昇する可能性を勘案し、早い段階で価格の安定を見通せるようにしていかなければならないと、改めて感じました。そのため、安定した価格で長期にわたって大規模な再エネの環境価値を確保できるバーチャルPPAの早期の導入が必要であると考えました。」

解決

自由度の高いバーチャルPPAで要望に合わせて柔軟に対応

NTTアノードエナジーは、自家発電・オンサイトPPA、オフサイトPPA、そしてバーチャルPPA、それぞれの再エネ調達手段について、多角的な観点でのメリット・デメリットをダスキン様に丁寧に説明。2021年、国内初のオフサイトPPAをはじめ、これまでに蓄積した経験を活かしたノウハウを提示。両者の理解を深めるための提案を行った結果、小野ダスキン様と他1工場(株式会社和倉ダスキン「以下、和倉ダスキン」様)へのバーチャルPPAによる再エネ導入が決定しました。

和倉ダスキン様 社屋

井出様は、導入を決定した理由について次のように語ります。

「今回の導入を大きく決定づけたのは、バーチャルPPAの契約期間内であっても小売電気事業者・供給先を自由に選択・切替えが可能で、電力契約そのものと切り離して、環境価値のみを調達できるという自由度にありました。コロナ禍以降、電力価格の高騰が続いたこともあり、小売電気事業者を自由に選択・変更できるという点が、導入を決定づけた理由の一つです」

長期契約リスク低減策を打ち出し導入を後押し

昨今の企業における再エネの導入については、追加性(※3)のある再エネが重視されています。今回、ダスキン様もそうした動きを踏まえ、導入に向けた検討をNTTアノードエナジーと二人三脚で進めてきましたが、バーチャルPPAについての概念は一般的には難しいものでもあります。それらの状況を踏まえて、井出様はこう語ります。

「PPAについての検討開始当初は、コーポレートPPA(企業や自治体などが小売電気事業者から自然由来エネルギーを長期購入する契約のこと)とは何なのかを社内で理解してもらうのに大変苦労しました。中でも、バーチャルPPAについては、その概念から理解するのが難しいスキームです。また、十年単位の長期契約になるため、市場価格の影響で結果的にコストが上がってしまうなどのリスクも課題としてありました。ですが、長期に契約するからこそ将来的な見通しが立てられるという、メリットもあります。NTTアノードエナジーからは、適時適切な情報提供やアドバイスを何度もいただき、約3年かけて社内の理解も深めることができました。さらに、長期契約のリスクを低減できるような当社の契約形態に合わせた制度を設定いただけたことも、導入を後押しすることになりました」

※3 追加性:新たな再エネ設備の増加を促す効果があること。自社の設備だけでなく社会に再エネを普及させることへの寄与が期待される事

効果

業務の安定性を保ちながら脱炭素に貢献できる理想的な形に

2022年に導入検討を開始し、2025年2月に契約スタート。小野ダスキン様のマットや和倉ダスキン様のモップは、再エネ率100%(※)で製造された商品になります。特に小野ダスキン様は、今回の取り組み以外にも兵庫県小野市における小野商工会議所SDGs宣言にも登録しており、環境負荷低減に向けた取り組みを積極的に進めている企業であります。そうした各種施策などを踏まえ、今回のバーチャルPPA導入の効果について、鈴木様は次のように感じているといいます。

小野ダスキン様 「オーダーメイド」マット利用事例の社内展示

「ダスキングループ全体でバーチャルPPAにて環境価値を一括購入し、各拠点に振り分ける運用方式は、非常に効率的だと感じています。各工場などでの調達の手間が省けるだけでなく、スケールメリットを活かして、より良い条件で再エネを導入することができ、脱炭素目標の達成にもつながっています。加えて、バーチャルPPA方式は、現場のオペレーションを妨げることなく環境価値を確保できる、極めて合理的な手段です。電力の切り替えによる手続きや技術的な負担が発生しないことは非常に大きなメリットですし、業務の安定性を保ちながら脱炭素という社会的使命に貢献できる理想的な形なのではないでしょうか。さらに、グループを挙げてこうした取り組みを進めていることを広く発信していくことで、工場での日々業務に従事する従業員の意識改革にもつなげていきたいと考えています」

マットやモップなどを再エネ率100%(※)で製造し「環境にやさしいダスキン」のブランド価値向上に寄与

ダスキングループでは、脱炭素社会の実現のために2030年度までの目標として、グループ拠点の「再エネ利用比率50%」「CO2排出量の46%削減(2013年度比)」を掲げており、今回のバーチャルPPAによる追加性(※3)のある再エネ導入は、それらの目標達成に向けての大きな後押しになるといえます。また今回のバーチャルPPA導入は、清掃関連レンタル業界では初の取り組みでもあり、関係各所から注目されています。井出様は、今回の導入に対して社内外から次のような反応があったといいます。

「業界初のバーチャルPPAということで、ある程度のインパクトがあり、2025年1月に連名でプレスリリースを発出してから、多くの企業によるPPA導入第二弾の提案を受けました。投資家向け説明会や株主総会においてもバーチャルPPAの導入について紹介しており、マットやモップを再エネ率100%(※)で製造している『環境にやさしいダスキン』というブランド価値の向上にも寄与していると感じています。さらにサステナブル投資の観点でも、投資家をはじめとしたステークホルダーへのアピールになり、積極的な投資を行う企業というイメージを醸成し、ESG評価や株主価値の向上にもつながるのではないかと考えています」

井出様は、「現在進めている、電力メニューによる本社や周辺5拠点への再エネ率100%(※)化やテナント入居拠点の非化石証書購入などによって、再エネ利用率が4.6%から21.6%まで一気に向上しました。ここに今期から反映されるバーチャルPPA導入を加えると、目標とする再エネ利用率50%達成の可能性がさらに高まります。NTTアノードエナジーには、まずは当初計画の環境価値(年間550万kWh)の提供に向け発電所の運用・管理を徹底いただき、『ダスキン環境目標2030』の達成、『ダスキン環境ビジョン2050』の実現に向けてもPPAに限らないさまざまな提案やサポート、NTTグループ間の連携を踏まえた提案・支援をお願いしたいと考えています」と今後の展望についても語ります。

全国のお客様に届けられるダスキン様のマットやモップなどの商品が環境にやさしくあり続けるため、NTTアノードエナジーはNTTグループの持つ「安心・安全・信頼」のブランド力を生かしたさまざまな提案で、さらなるサポートをしていきます。

※ 再エネ率100%:実質再エネを含みます。

※3 追加性:新たな再エネ設備の増加を促す効果があること。自社の設備だけでなく社会に再エネを普及させることへの寄与が期待される事

会社名 株式会社小野ダスキン
本社所在地 兵庫県小野市粟生町字大畑1936番55
設立 1984年6月1日
資本金 2億円
事業内容 家庭・オフィス・店舗で使用するマット、化成品の製造