太陽光案件の獲得・拡大へ、技術提案と営業支援の両輪で競争力強化に貢献
「新価創造し未来の時流を生み出す企業」というビジョンのもと、島根・鳥取を中心に太陽光発電設備・蓄電設備・自然エネルギー設備などの機器販売および施工事業を展開する東洋ソーラー様。環境意識の高まりや原油価格高騰による電気料金の値上げなどにより、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーや蓄電池への需要が高まっています。太陽光発電所の構築事業は、製品のコモディティ化によって同業他社との差別化が困難な状況ですが、そこへ 一般的な発電システムとは異なる海外製システムの提案を行い、知見や技術力を提供したのがNTTアノードエナジーでした。
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課題
- 製品自体のコモディティ化が進み、安価な提案のみでは競争力が働かず差別化が困難となっている太陽光発電市場
- 自社で運営する太陽光発電所において、電力会社からの出力停止要請に対する社員駆け付けの削減、停止時間の短縮
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解決策
- NTT アノードエナジーの技術力と提案力を活用し、 ソーラーエッジ製PCS(パワーコンディショナ:太陽電池で発電した直流の電気を、電力系統と同じ交流の電気に変換する装置) を導入して提案の差別化を実現
- 出力自動制御装置を導入し発電設備の制御を自動化
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効果
- 海外製品に関する知見と技術力で、他社との差別化に成功
- 出力停止要請の度に必要だった社員の現地駆け付け稼働の削減、停止時間短縮による発電収入の確保
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東洋ソーラー株式会社
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- 代表取締役社長 藤原 一美様
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NTTアノードエナジーとの協業の始まり
2024年11月をもって設立 30 周年を迎える東洋ソーラー株式会社様。設立以降、太陽光発電事業を取り巻く環境が激しく変化するなか、同社は、経営理念である“新価創造”のもと、常に新たなことに挑戦し、「お客さまに寄り添い、安心して過ごせる環境をご提案していく」という信念を貫き山陰地方を起点に事業を拡大されてきました。そんな東洋ソーラー様が最初に NTTアノードエナジー(当時 NTTファシリティーズ)に相談を持ち 掛けたのは 2013年のこと。当時の状況を藤原社長はこう語ります。
「私が先代の後を継いで社長に就任したのが 2013年4月のこと。それまでは住宅用太陽光発電を取り扱っていたのですが、この先を見据えて本社で産業用太陽光発電に取り組んで行こうということになりました。しかし大規模な太陽光発電所の構築・保守は当社だけでは扱いづらく、NTTファシリティーズに声をかけたのが始まりです。NTT ファシリティーズは技術力、実績もあり、安心して任せられると思っていました」
当時は、経済産業省の「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」が2012年7月に始まったばかり。新規参入しても収益が上げられるかはまだ不透明でした。当時、産業用太陽光発電設備はニーズやノウハウが不透明な状態で、事業立上げが難しい時代でしたが、一緒に併走し、住民説明も共に対応するなど双方で協力する体制を築いていきました。
「いざ工事を始めてみたら遺跡が出たなどの難題もありましたが、その頃に苦心して一緒に取り組んだ設置工事のノウハウが今も活きています。また、設備の保守も一手に担ってもらってきました。NTTファシリティーズがいなかったら太陽光発電を事業化するのは難しかったでしょうね」と藤原社長は語ります。
革新的新技術の導入をNTTアノードエナジーが提案
2020年頃、東洋ソーラー様がFITではなく自家消費用太陽光の販売施工に力を入れているというお話を聞いた NTTアノードエナジー(当時 NTTファシリティーズ)は、独自技術を持つ海外メーカー“ソーラーエッジ”製のPCSを同社に紹介。
ソーラーエッジはIT先進国イスラエルの高機能なPCSの製品メーカーで、藤原社長は、「提案されたソーラーエッジ製システムは、火災発生などの異常時に自動でシャットダウンするので火災発生時に安全でもあるし、パワーオプティマイザー(パネル単位で発電量を最大化する機器)を組み合わせたシステムにより、パネル劣化の影響を抑える、部分影があっても発電量を最大限維持できるなど発電量の確保に貢献できるところが他社との差別化に繋がるよね、という話になり、それからは入札の参加時や共同提案をする際にはソーラーエッジ製のPCSを採用するようになりました。この頃からソーラーエッジ製システムを多く取り扱うようになり、今では製品を導入する際の技術的な確認事項や課題もよほどのことでなければ社内で自己解決できるようになりました」と語ります。
遠隔監視と予防保全の重要性
NTTアノードエナジーは東洋ソーラー様の太陽光発電所の保守を2013年から担ってきました。その頃から設備の「予防保全」に力を入れています。藤原社長は NTTアノードエナジーの保守運営面について高く評価しています。
「太陽光発電所は停止による経済的損害が一番の課題ですが、NTTアノードエナジーに保守をお願いしてから、10年以上にわたり大きな問題が起きていません。当面の問題は設備周りの草刈りくらいで(笑)、故障があってもすぐに発見してもらえるので助かっています」と笑顔で語る藤原社長。
こうしてお客さまに満足していただける背景については、NTTアノードエナジーが「予防保全」に力を入れてきたことが上げられます。24時間×365日の遠隔監視に加え、保全計画をしっかり立てて定期的に故障や劣化の恐れがある部分を点検する、寿命を考慮し予め部品交換する等の予防保全に日頃から取り組むことで故障のリスクを低減しています。また、NTTアノードエナジーの提案により導入された出力自動制御装置により、自社太陽光発電所の運用負担を軽減しています。
「発電所の出力抑制では、電力会社から翌日の発電を止める通知を受けると、前日から現地に社員を派遣して停止対応を行い、復旧時は現地に赴き人手で設備を起動する必要がありました。復旧時の社員派遣の調整によっては駆け付けに時間を要してしまい、必要以上に発電できない時間が発生して収入減になってしまう事もあります。しかし、出力自動制御装置の導入により復旧時に遠隔で設備を起動できるので、売電収入の減も抑えられますし、社員に負担をかけることも避けられるので助かっています」と評価します。
人手での出力制御と比べて、「出力自動制御装置は1カ所あたり数百万円のコストがかかりますが、それでも導入した方が良いと私は考えています。例えば、本社のある松江から太陽光発電所の江津までの移動には片道2時間かかります。往復の移動時間も含めるとほぼ1日仕事となるという時間的なロスだけでなく、移動中は事故等のリスクも少なからずありますし、ゴールデンウイーク等に出力抑制の通知が出た場合、社員が対応するには休日出勤してもらわなければならず、社員の家族にまで迷惑をかけてしまいます。そうした影響なども含め総合的に勘案すれば、出力自動制御の導入メリットは大きいと考えました」と藤原社長は語ります。
提案時の差別化に役立った技術好きの社風
現在、自家消費用太陽光の販売施工事業を拡大している同社。NTTアノードエナジーからご提案した、ソーラーエッジによる提案実績がかなり増えています。それについて藤原社長は、「ソーラーエッジについては、ほぼ全部の案件で提案に入れています。競争入札など競合他社がいる時は、他社は提案にソーラーエッジを入れてこないので価格差が出る場合もありますが、価格だけでなく発電量の低下を抑えられるという導入メリットを丁寧にご説明すると、最終的には当社を選んでいただけます。また、当社がデータセンターでの自家消費案件でソーラーエッジ製システムを導入した実績もあることをお伝えすると、ほぼソーラーエッジを入れたシステムをご採用いただけます」
「当社には最新技術が好きな社員が多いことも理由の1つですね。当初は未知の技術を取り入れることに不安もあったようですが、NTTアノードエナジーの営業担当者が製品の優位性をしっかり伝えてくれたこと、我々に寄り添って疑問点を一つ一つ解消し、ソーラーエッジ側の技術者も巻き込んでしっかりバックアップしてくれたので安心して採用に踏み切れました」
NTTアノードエナジーでは、本件に限らず新製品や新たな技術を提案する際には、事前に説明会や勉強会を開催し、施工を担当する技術者の方々とその場でしっかり話し合い、理解を深める努力をしています。“売りっぱなし”にしないのは、東洋ソーラー様と NTTアノードエナジーの共通のスタイルです。
そうしたスタイルが他のベンダーにも波及、今では東洋ソーラー様主体で測定機器のメーカーとの勉強会も開かれるようになり、施工技術者の皆さんの熟練度も上がってきたといいます。これは同社の“技術好きの社風”のおかげでもあり、競合他社との差別化につながっているようです。
「当社は社員だけでなく役員もそろって技術が好きで知見があります。そうした社風からデータを根拠にロジカルな提案ができるところも競合他社との差別化につながっています。またデータだけでなく、提案先のお客さまの興味が湧くところに焦点を絞って提案することを心がけています。特に『もし自分だったらこの製品を採り入れるか』『自分自身でも買いたいかどうか』という観点も合わせて、分かりやすく、熱意を持ってお客さまに説明していますので」と藤原社長は同社の提案のポイントを語ります。
こうした提案力が、いくつもの大型案件の受注に繋がったそうです。例えば、銀行系の電力供給会社、大手スーパー、給食センターやデータセンターなど、幅広い分野で受注実績を創出しています。
NTTアノードエナジーに期待することは?
2023年12月、地域の自治体に「防災タワー」計2台を寄贈されるなど、社会貢献事業にも力をいれてきた東洋ソーラー様。そんな側面から NTTアノードエナジーに期待されることを伺うと、「防災の分野も当社の新しいドメインとして注力していきたいので、NTTアノードエナジーに併走してもらえることを期待しています。例えば蓄電池の運用に関するノウハウは重要で、水に浸かったらどうするのかなど、当社にも質問がかなり来ています。また、蓄電池火災への対応ノウハウなどは、当社もまだ少ない。市役所の防災課から消火方法について教えてほしいという相談もあります。こういうところは NTTアノードエナジーにもノウハウを教えてもらえると、新しいビジネス展開になるのではないかと思っています」
さらに環境事業についても、「ある自治体では動物が畑に侵入していて問題になっています。これを未然に防ぐことのできる技術があれば良い提案になります。他にも水耕栽培を共同でやっていくような連携ができれば面白い。これらは一見バラバラの事業に見えますが、脱炭素先行地域の事業では、再生可能エネルギーにこれらのソリューションを組み合わせることが評価されると考えています。こういう直接的には電力とは関係ないことについても、NTTアノードエナジーであれば幅広い総合力で解決できることも多いと思います。これらについても一緒に提案していってもらえるパートナーであってくれることを期待しています」と語りました。今後の NTTアノードエナジーには幅広い提案が期待されています。
会社名 | 東洋ソーラー株式会社 |
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本社所在地 | 島根県松江市北陵町46 番地5(ソフトビジネスパーク内) |
設⽴ | 1994 年11 ⽉7 ⽇ |
資本⾦ | 20,000,000 円 |
事業内容 | 太陽光発電設備機器の販売施⼯、蓄電設備機器の販売施⼯、⾃然エネルギー設備機器の販売施⼯、住宅設備機器の販売施⼯、住宅・ビル等の省エネルギー化推進事業、⼤規模発電事業、産業⽤⾃家消費発電設備の企画・提案 |