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全国初となる水の官民連携(ウォーターPPP)レベル4(コンセッション)向けオフサイトPPA導入。持続可能な下水道事業の運営を推進(※1.2.3)

うべアクアフロント株式会社様は、宇部市公共下水道西部処理区運営事業を担うために設立された特別目的会社(SPC)です。同社は、宇部市がPFI(コンセッション方式)を用いて進める官民連携事業の運営主体としてオフサイトPPAを採用しました。2026年4月1日より再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力の提供を開始し、今後30年間の長期にわたり本事業を運営していく予定です。本事業における同社の脱炭素化推進の取り組みとオフサイトPPA導入の狙いについて、事業統括責任者 奥野様にお話を伺いました。

  • 課題

    • 電力費の将来的な変動リスクの低減に寄与する電力調達
    • 抜本的な脱炭素化と災害リスクを踏まえた電力調達
  • 解決策

    • オフサイトPPA※4と補給電力に再エネ指定の非化石証書※5を組み合わせることで、使用電力を実質再エネ100%化
    • 長期契約による価格変動リスクの一部低減と、敷地外電源を活用した再エネ調達スキームの導入
  • 効果

    • オフサイトPPAと再エネ指定の非化石証書の活用により、使用電力の実質再エネ100%化を実現し、脱炭素経営の推進に貢献
    • 長期契約による現行単価より安価、かつ価格変動リスクを一部低減した契約を通じて、持続可能な下水道事業運営に貢献

※1 全国初:当社調べ

※2 水の官民連携(ウォーターPPP):2023年6月に政府より提示されたコンセッションへ段階的に移行するために新設された新たな官民連携方式。

※3 レベル4の水の官民連携(ウォーターPPP):水道・下水道・工業用水道などの水インフラについて、施設の所有権を自治体に残したまま、運営権や料金徴収権を民間事業者へ設定・移譲する仕組みであり、民間事業者は市民から徴収した料金などで施設の維持管理から更新までを担う方式。

※4 オフサイトPPA:需要家が実際に電力を使用する場所とは離れた場所(敷地外)に、発電事業者が再エネの発電設備を設置し、送配電網および小売供給スキームを通じて需要家へ電力を届ける契約形態。

※5 非化石証書:石油や石炭などの化石燃料を使用していない「非化石電源」で発電された電気が持つ環境価値(非化石価値)を証明するものです。再エネ指定の非化石証書を組み合わせることで、需要家は使用電力に再エネ由来の環境価値を付与することができます。

カーボンニュートラル実現に向け、再エネ導入を検討

宇部市の下水道事業では、「人口減少による収入低減」「施設の老朽化」「職員減少」への対応といった将来に向けた課題があります。こうした課題に対し、うべアクアフロント様は、民間のノウハウ・技術などを活用した運営の効率化、官民共創、地域との共生を図り、持続可能な事業運営を担っていきます。

うべアクアフロント様がめざす事業の特徴(出典:https://ubefro.co.jp/service/#area)

環境への対応についても奥野様は、「日本全体の上下水道事業は年間電力消費量が約150億kWhと非常に多く、日本全体の電力消費量の約1.5%を占めています。インフラの中でもCO2排出量が多い分野です。こうした事業を営む当社では、カーボンニュートラルへの対応は宇部市に限らず全国的に推進すべき課題の一つとして捉えています。当社の環境方針でも脱炭素への積極的な取り組みを掲げています」と語っています。

本事業の西部浄化センターにおいて、うべアクアフロント様は、事業開始時から100%クリーンエネルギーで賄う取り組みを行っています。事業当初から再エネを導入することになった背景について、「電力消費量の多い下水道事業においては、動力費(ポンプやモーターなどの設備で使用する電力費)の削減と温室効果ガス排出量削減の両立が重要課題となっています。このような課題解決への取り組みの第一歩として再エネ導入を検討することとしました」と語りました。そして、同社がこうした課題に対応していくために選んだパートナーがNTTアノードエナジーでした。

NTTアノードエナジーとの連携のきっかけについて伺うと「NTTグループ、特にNTTアノードエナジーとの連携は、当社がめざす100%クリーンエネルギーの調達や電力費削減という方針にシナジーもあり、NTTグループとしての信頼性や長期的な事業継続性への安心感が、導入判断の後押しになりました」と振り返ります。NTTアノードエナジーとの連携により、動力費の削減とCO2排出量削減に向けた取り組みを進めています。

事業開始前にNTTアノードエナジーからの再エネ導入の提案を受けた印象については「公共事業のSPCとの契約というNTTアノードエナジーにとっては難しい契約であったと推察しますが、誠実にご対応いただき信頼感を持つことができました」と評価しています。

需要場所内に発電設備を設置しないことで、当該設備の浸水リスクを回避しやすい調達方式として検討

同社は今回、再生可能エネルギーの調達方式として、オフサイトPPA方式を選択しました。その理由について奥野様は、「導入を検討した西部浄化センターは沿岸部に位置するため、ハザードマップ上、浸水区域にあることがわかりました。また、場内への設置は今後発生するであろう大規模な改築工事の支障となる可能性もありました。今回は、長期的なリスク軽減の観点からオフサイトPPAを検討しました」と語ります。

同社がオフサイトPPAを選択した理由は、発電設備の設置場所の制約、という観点だけではありません。「検討を始めたのは、宇部市の事業公募への対応途中でした。公募提案上の特徴の一つとしてオフサイトPPA導入を提案できたことは、公募提案を特徴づけるうえで非常に役立ちました」

オフサイトPPAの導入方針を盛り込むことで、下水道事業におけるカーボンニュートラル推進への姿勢を示すことができたといいます。

その後も同社内では、さまざまな観点からオフサイトPPAの検討がなされ、最終的に導入が決定しました。西部浄化センターの想定年間供給電力量約224万kWhのうち約23%は、オフサイトPPAによる再エネ由来電力で賄う※6こととなったのです。

※6 本電力供給は、NTT アノードエナジーグループの株式会社エネット(小売電気事業者登録番号:A0009)が行い、NTT アノードエナジーは取次店としてサービスを提供します。再エネ指定の非化石証書を組み合わせて調達することにより、実質的に 100%再エネを実現します。具体的には、太陽光発電所の電力はオフサイトPPAを活用し対象施設に供給され、太陽光発電所の電力が不足する分は、補給電力として卸電力取引所等の電力を供給します。なお、太陽光発電所の電力および卸電力取引所等の電力については再エネ指定の非化石証書を付与します。

オフサイトPPA スキーム図

長期契約とNTTグループの信頼性を評価

本事業では、「人口減少による収入低減」「施設の老朽化」「職員減少」といった宇部市の課題に対応し、下水道事業を長期的かつ持続可能な事業としていくことが求められていました。今回実現したNTTアノードエナジーとの長期的な連携(本件では約30年)を前提とした電力調達についてはどのように評価したのでしょうか。

「燃料調整費を含む電力単価の変動は近年顕著であり、長期事業を行ううえで不確定リスクの最たるものと考えていました。そのような中で、NTTアノードエナジーから契約条件を踏まえた価格水準での提案を受け、当社の経営上の見通しを確保し、リスクを軽減する観点から評価できるものと判断しました」

また、「30年という長期契約を検討するうえでは、下水道業界において前例のない長期にわたる事業を支える観点から、事業者としての信頼性も重要でした。NTTグループが行う電力事業であることは、安心感につながりました」とNTTアノードエナジーへの期待を語りました。

NTTアノードエナジーとの連携では、再エネ電力および再エネ指定の非化石証書の活用を通じて、スコープ2算定に基づく試算では、年間約1,231トンのCO2排出量削減※7が見込まれます。こうした定量的な効果については、「たしかにオフサイトPPAによって直接調達する再エネ由来の電力の割合は限定的です。本来であれば直接的な再エネでカバーする範囲をもう少し広げたい思いはありました。ただ、NTTアノードエナジーからは、補給電力に再エネ指定の非化石証書を付与することについても合わせて提案いただいたことで、全量クリーンエネルギーの活用を実現することができました」と評価しています。

今回のうべアクアフロント様への提案内容について、NTTアノードエナジーの営業担当者は、「下水道分野において、喫緊の課題として挙がる脱炭素化に対し、オフサイトPPAの導入によって課題解決に貢献できたことをうれしく思っています。同様の課題を抱える上下水道事業者・自治体等に対し、カーボンニュートラルの実現に向けた選択肢の一つを提示できたと考えています」と振り返りました。

※7 本試算は、スコープ2の算定に基づき、エネットの令和8年報告用排出係数(0.000547 t-CO2/kWh)を適用し算出した参考値です。

さらなるカーボンニュートラルの実現に向けて

うべアクアフロント様の今後の事業運営については、「コンセッション事業は、独立採算を原則として運営する事業です。再エネ活用についてはコストとのバランスが重要になります。本事業では、再エネ指定の非化石証書を付与した補給電力の活用により全量をクリーン電力で賄うことができることになりました。さらに先を見据えると、カーボンニュートラルという点においては、下水処理および汚泥処理の過程で排出されるメタンガス等(バイオガス)の温室効果ガス排出も含めて対策を考える必要があります。これらバイオガスの有効活用も含めて、より一層カーボンニュートラルを推進していきたいと考えています」と脱炭素化推進へのさらなる思いを語りました。

パートナーとして連携したNTTアノードエナジーについては、「当社が関わる上下水道事業は、事業規模が大小さまざまであり、中でも非常に小規模な事業が多いのが実態です。NTTアノードエナジーには規模に関係なく、合理的な価格水準で、長期的な電力調達を支援する再エネ関連ソリューションを提供していただければ、連携できる機会が増えてくるものと思っています」と期待を込めて語りました。

最後にNTTアノードエナジー営業担当者はこう振り返ります。

「契約期間や将来の需要変動に柔軟に対応した契約形態を実現できたことが大きかったと思います。本件で得た知見を活かして、オフサイトPPAを全国の案件に展開し得るソリューションとして、地域の特色や課題に応じた最適な提案を地道に行いながら、カーボンニュートラルの実現に貢献していきたいです」と締めくくりました。

※本記事の内容は2026年7月時点の情報です。

導入先 うべアクアフロント株式会社 西部浄化センター様
所在地 山口県宇部市大字藤曲字沖土手下
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